ポーの一族 春の夢


「ポーの一族 春の夢」 萩尾望都
古い古い漫画で有る。なんと40年振りに再開され今回単行本が出版された。
40年前も読んでいた。子供が読むにはかなり難解な漫画だ、今読んでも分かりにくい。
これは萩尾望都さんの作風とも言うべき点で数回読み直しても分かりにくい。
特にこのポーの一族は短編が時系列で発表されてる訳ではなかったので時代が前後してとても分かりにくい。
それをなんとか理解してついて行こうと言う気にさせる漫画家でもある。

「ポーの一族」とは?捨て子のエドガーとメリーベル兄弟が年老いたバァンパイアに育てられ、育ての親のハンナ(ヴァンパイア)が人間に襲われ消滅する時にその連れ合いで一族の大老「ポー」の血を分けられ14歳にしてヴァンパイアとなったエドガー。とても強い血を受け継いだエドガーは違うヴァンパイア夫婦に妹と預けられ各地を転々とする。妹も仲間にしたのはエドガーである。子供のまま見た目が成長しないので同じ場所に長くは住めない。メリーベルに恋した少年、アランも仲間に入れる。前回連載されていた時点ではメリーベルもアランも亡くなっていた。

今回再開された時代は第二次世界大戦中、アランはまだ生きていてエドガーと共にいる。
何故かエドガーが仲間に引き入れた者は体が弱く、アランも然り。起きれない日が続く。
2人はイギリスの赤い屋根の家で暫く過ごす事にした。
シューベルトのレコードをかけていると突然男の子が舞い込む「ここ僕の家?」
男の子の名前はノア、ノアを村に送る途中でノアの姉ブランカと出会う。
イギリスとドイツは戦争中でドイツに住んでいたブランカの父はユダヤ人だったため、両親と別れ母親の姉の家に疎開していたのだ。ノアは幼くて事情が良く呑み込めていないが姉のブランカは16歳、両親の居ない土地勘のない外国で弟を守る事に必死なため、ドイツ語を一切禁じていたのだ。シューベルトはドイツで良く母親が歌っていた、幸せな夢の一部、春の夢。
そこからブランカ、ノアとの交流が始まる。途中「ポーの村」の一族から襲われるエドガーだが大老ポーに救われる。ブランカの叔父は又違うヴァンパイアの末裔でその復活の儀式の手伝いに来ていたのだ。
戦争に動きが有り、ドイツ敗戦が色濃くなったころブランカ達の叔父は仮死状態になる(母親以外は死んだと思っている)
葬式の日、動きだした叔父を見てパニックになるノア。ノアをエドガーの家に預けるが孤児を追いかけて誤って川に転倒し行方不明になってしまう。ブランカは錯乱し川に入り探そうとするのを以前からブランカに懸想していた運転手に襲われる。助けに向かうエドガーは地下に閉じ込められ初めて空間を通り抜けてブランカの元へたどり着くがブランカは恐怖の為、見事な黒髪は一瞬で白髪に。塔の窓から転落して瀕死となってしまった。
エドガーが助けると弱くなるため、違うヴァンパイアの「ファルカ」を呼ぶ。アランが言う「ブランカが仲間になれば僕は要らないね?僕はファルカと行く」だがエドガーは許さない。ファルカは人間の時に亡くした子供達が大好きで子供のヴァンパイアを仲間にしたい。けどわがままを許し過ぎて不用心にさせ命を危険にさらさせてしまう。エドガーは言う「ポーの一族は殆どの時間眠りについていて生きているのか疑問になる。そんな時、アランの様に人間に近い人が側に居ると生きていると実感できるのだ」と。

結局ブランカはファルカと行く事になり、エドガー達も赤い屋根の家を離れる。
数年後無事に生きていたノアは大学生になり赤い屋根の家で夏を過ごしている。ドイツで生きていた母も居る。
そんな様子をうかがうのはもう人間ではなくなったブランカ。




この本を説明するのは難しい。読まないと伝わらない魅力なのだ。そして以前刊行されていた「ポーの一族」を読んでも話についていくのはかなり読み込まないと無理である。哲学書の様な趣(哲学書を読んだ事はないがきっとこんな感じだろうと思わせる)絵にストーリーが付いてるから漫画なのだろうが内容は・・・。この作品シリーズには著名だが萩尾望都さんの作品では良く有る。
40年の間隔が開いても読ませたいと思う力量。恐らくもう還暦になられてるだろうがベースに流れる感性は変わらない。
作品を通して萩尾望都と言う人を見ている気にさせる。そんな一冊。



音楽・本











コメントを残す

*